機動戦士ガンダムAfterwar~戦後の戦士たち~

一年戦争後の宇宙世紀の世界観を独自の目線で表現しています。

【序章】

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人は動物とは違う。

生きるための理由や目的を必要としている。

人には生き甲斐という希望を持たずにはいられないのである。

本能的に言えば、生きていることそのものが生きる理由であり、種の保存が生きる目的であるはずなのに、もはやその事も忘れてしまっている。

逆に言えば自殺や自傷という行為を行うのも人間だけである。生き甲斐を見失ってしまうと、このような末路を辿ってしまう人も少なくない。

また発情期が無く年間通じて性欲を持ち続けるのもやはり人間だけである。

しかし知恵を持ってしまった人間は感情を持つようになり、生きることの理由と目的を考えるようになった事は、人間が上位種である証と同時に、悲しい事なのかもしれない。

その悲しみを乗り越え、人間としての感情をコントロールし、この世に生を受けた意味そのものを理解し、分かち合う事ができるのもまた、ニュータイプなのだろうか。

 

宇宙世紀0080の元日、一年近くに渡って続いたジオン独立戦争はジオン側の降伏によりようやくの終戦を迎えた。

しかしながら、一部を除き多くのジオン兵は終戦を良しとせず、宇宙と地球の各地に潜伏して、再起する時を待っていた。

打倒連邦、スペースノイド自治独立、そしてジオンの再興を目指し、永遠に終わらない戦いを始めたのである。

再び彼らにとっての生きる意味を見出す事ができた。

しかしその戦いはもっと以前、ジオン・ズム・ダイクン独立運動を始めた時から始まっていたのかもしれない。

 

終戦協定以来、ジオン残党兵によるテロやゲリラ活動が後を経たず、民間人や政府関係者にも犠牲者が出ている。

戦後処理を進める連邦にとっての障害になる上、対応が後手に回っていると内外からの批判もあって、終戦から三ヶ月、本格的な対応に乗り出す。

そこで対ジオン残党兵対策として設立されたのが、第15独立試験部隊(通称アルバトロス隊)である。

ジオン残党兵の捜索も兼ねた新型機のテストを行う部隊であり、大戦末期に開発された新型機や、新たに開発した新兵器をテストしていた。

 

連邦軍パイロット、シンジ・アラタは20歳ながら連邦軍の初期のモビルスーツ開発「RX計画」からエンジニアとしてモビルスーツに携わっていた。

そこでテム・レイを師事と仰ぎモビルスーツの開発に従事していたが、開戦後に発動したV作戦から、テム・レイの勧めでモビルスーツパイロットに転向している。

戦後、アルバトロス隊に所属。

若いながらモビルスーツパイロットの経歴は長く、開戦から終戦まで生き抜いたことから、ニュータイプではないかとも噂されている人物である。

 

【第一回】Unknownに続く

 

【注記】この物語はフィクションであり非公式です。また、公式には出てこない機体も登場するなど、パラレルワールド的な物語である事をご了承ください。